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(帰化)第2回  普通帰化の基本要件



 帰化は国籍法で帰化要件によって【普通帰化】、【簡易帰化】、【大帰化】の3種類分けている説明していましたが、ほとんどの方が普通に外国で生まれて、留学生として日本に来て、卒業後にそのまま日本で就職して、帰化をしたい場合、【普通帰化】に当てはまります。今日は普通帰化の条件について、簡単に説明いたします。


①住居要件

 国籍法に規定されている【引き続き5年以上日本に住所を有すること】 の要件です。 簡単に言えば「5年以上日本に住んでいますか?」のことです。 ただし、注意しなければならないのが、この「引き続き」の意味で、日本に居住しているつのが継続しているかどうか、つまり継続して5年以上住んでいることです。例えば4年間日本に住んでいて、その後1年間海外に行って、また戻って1年間日本に住んだ場合は継続して5年以上にならなくなります。またこの場合は、海外に行く前の3年はカウントできなくなってしまうので、最後に日本に戻ってからの1年とこれから4年間継続居住しなければなりません。

 「引き続き」として認められるかどうかの目安は1度の出国日数がおおよそ3ヶ月(90日)以上です。一度の出国が3ヶ月(90日)以上の場合、「引き続き」として認められない可能性が非常に高くなります。例え海外出張や海外駐在、また一時帰国して出産などにより、3ヶ月以上出国してしまう方でも、法務局から見ると「引き続き」にならないと判断される場合が多いです。100%で出国したことで不許可になるとは言い切れませんが、出国していたことが事実であり、要件に満たしていないことが変わりがないので、どんな理由でも法務局が考慮してくれるでしょうと期待しないほうがいいと思います。

また、1回の出国は3カ月より短くても、1年間のうち短期の出国を何回も繰り返し、目安として合計150日以上程度日本に住んでいないことになると、これも「引き続き」とみなされないという判断をされる可能性が高くなります。例えば出国が「1カ月、2カ月、1カ月、2カ月」で出国が合計4回だと、毎回の出国は3カ月以内ですが、合計で1年で180日以上の出国したことになります。出国が多い人は要注意です。


 「引き続き5年以上」の期間には、就職をして実際に仕事をしている期間が3年以上必要です。例えば、留学ビザだけで5年以上日本に住んでいても、条件を満たしません。卒業後就職し、就労系ビザに変更してから更に3年経てば、大丈夫です。


 一つ例外として、10年以上日本に住んでいる外国人です。10年以上日本に住んでいる方は、就労経験が3年なくても1年以上あれば基本的に大丈夫です。

例えば留学生ビザで9年+就労ビザで1年で、合計10年になる場合、これで帰化要件を満たします。


②能力要件

 帰化するには、20歳以上であることが必要です。ただし、未成年の子が両親と一緒に帰化申請をする場合は、20歳未満でも帰化が可能になります。20歳未満の場合は単独申請はできません。


③素行要件

 簡単に言うと、きちんと税金、年金を払っているかどうか、交通違反や犯罪前科があるかどうかの審査です。

・税金  会社員の方でも、住民税に注意してください。基本は会社から天引きされていること(特別徴収)が多いですが、たまに自分で役所に支払わなければならない(普通徴収)ケースもあります。

 会社からもらった給与明細を確認し、住民税が天引きされていれば何も問題ありません。

会社から住民税が天引きされていない方は、自分で申告して自分で払わなければなりません。もし住民税を払っていないことが判明したら、今からでも払えば問題はありません。

ご結婚されている方は、配偶者分の納税証明書も提出する必要があります。配偶者が滞納している場合でも、審査が通らないのでご注意ください。

※配偶者は帰化申請をせずに本人のみの申請であっても配偶者分の納税証明書が必要になります。


 そして注意して頂きたいのは、「扶養」です。家族を扶養に入れれば自分の税金が安くなります。ただし、収入が年間103万以上超えた配偶者や、事実上に扶養していない本国の両親や祖父母、兄弟姉妹、更に既に亡くなった親族等を扶養に入れた場合、帰化申請時には提出されるほかの書類から必ず判明しますので、単に税金を安くするために扶養の人数を増やしている方は、今すぐでも正しいく修正申告をして、未納税を支払たほうがいいです。


・交通違反

 免許を持ってない人は関係ありませんが、車を運転する人はご注意ください。交通違反は基本的に過去5年間の違反経歴を審査されます。 目安としては過去5年間で、軽微な違反5回以内だったら特に問題はないと判断します。5回より超えると絶対に駄目ではありませんが、一応の目安です。軽微な違反というのは、例えば、駐車禁止や携帯電話使用などがあたります。

・年金

 2012年7月の法改正で、年金も払っているかどうかが審査されるようになりました。2012年7月以前に帰化申請した方は年金は支払わなくても大丈夫でしたが、現在は違いますのでご注意ください。

会社員の方で勤務している会社で厚生年金に加入していて、給料から厚生年金保険料が天引きされている方は何も問題ありませんが、厚生年金に加入していない方が個人として国民年金を払っている必要があります。


 年金を全く支払っていない場合は、国民年金を直近1年分を払えば、その領収書を提出することで年金の要件を満たすことができます。


 また会社経営者の方は、会社として厚生年金保険に加入しなければなりません。会社として厚生年金保険を適用し、社員を厚生年金に加入する必要です。個人事業主の方は基本的に国民年金ですが、従業員を5人以上雇用している場合は厚生年金に加入しなければなりません。


④生計要件

 生計は成り立っているかどうか審査されます。一人暮らしの場合は、基本自分の収入で生活できるかどうか、もしくは家族と一緒に住んでいる方の場合は家族の収入で生活できるかどうかです。

 それを判断するには、貯金は多くても少なくてもあまり関係ありません。それよりも安定した職業に就いて毎月安定的な収入があることが重要です。

 目安として、会社員の方は給料、会社経営者の方は役員報酬で、最低月18万以上くらいあれば問題ありません。

 また、住宅ローンや、自動車ローン、クレジットカードなど借金があっても返済を滞りなく行っていれば問題ありません。

⑤喪失要件

 日本に帰化したら母国の国籍を失うこと、もしくは離脱することになります。日本は二重国籍を認めていません。


⑥思想要件

 日本国を破壊するような危険な考えを持っているかどうかの審査です。テロリストや、暴力団構成員や、過激団体構成員などが当てはまります。


⑦日本語能力要件

 帰化申請では日本語能力も審査されます。日本語能力試験で3級くらい持っていれば大丈夫なレベルだと思います。日本語テストがありますが、すべての外国人には課されているわけではありません。最初の面談、申請、相談、面接の段階で審査されて、審査官に日本語能力足りないかなと思われたら筆記試験を実施する場合が多いです。


■補足

 結婚されている外国人同士は、家族全員(配偶者、子供)一緒に帰化してもいいですし、本人単独で帰化申請しても大丈夫です。また、夫婦2人で一緒に帰化したい場合に、1人は帰化の条件と満たしていて、片方は条件を満たしていなくても、同時申請して許可になれるケース多いです。理由として1人が帰化許可になれば、自動的にその時点でその配偶者は日本人の配偶者(簡易帰化)にみなされるからです。


 【簡易帰化】の条件について、また次回に説明します。



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